企業インタビュー

2025.12/11

きらぼし銀行と共創するサステナブル先進企業

「金融にも強い総合サービス業」を将来像に掲げるきらぼしグループは、エネルギー使用量の削減や脱炭素経営支援など、持続可能な社会の実現に向けたさまざまな取組みを行われています。今回きらぼし銀行様が脱炭素経営支援をされている中小企業様に対して、環境問題に取り組む意気込みや、今後の展望などをお伺いしました。

株式会社大和三光製作所
Vol.1

人の力で未来をつくる〜大和三光製作所が福島から生み出す循環の輪〜

工業用乾燥装置のパイオニアとして110年の歴史を誇る株式会社大和三光製作所。排熱の再利用や水素を活用した新たな乾燥技術の研究など、環境負荷の低減に挑み続ける同社は、きらぼし銀行のサステナビリティ・リンク・ローン(SLL)を活用し、設備投資を通じて脱炭素化をさらに加速しています。環境経営を推進する代表取締役会長・大和輝明氏に、その歩みと想いを伺いました。

株式会社大和三光製作所

PROFILE 株式会社大和三光製作所 代表取締役会長 大和 輝明 氏

捨てていた熱を活かすという発想

福島工場で制作中の乾燥機

福島工場で制作中の乾燥機

1915年創業の大和三光製作所は、工業用乾燥装置・熱処理装置・焼却装置を手がける専門メーカーです。世界遺産・富岡製糸場で繭乾燥装置を製作したことを機に、食品や化学、電子部品など多様な分野へと事業を拡大してきました。インスタントラーメンやスマートフォンの内部部品など、日常生活のあらゆる場面に同社の技術が息づいています。

同社が環境と深く関わる製品を手がけるようになったのは、昭和40年代。静岡県・田子の浦港で発生したヘドロ汚染問題がきっかけでした。「当時は汚泥をそのまま焼却するのが一般的でしたが、水分が多くてすぐに火が消えてしまう。そこで叔父が"乾燥と焼却を分け、燃焼で出た熱を乾燥に再利用する"という仕組みを考案したんです」と大和会長は振り返ります。

燃焼熱を循環利用するこの方式は、少ない燃料で自己完結的に乾燥を行うという、当時としては画期的な発想でした。やがて、この技術を応用した乾燥装置は全国のし尿処理場に広がり、環境保全に大きく貢献。現在は排熱を再利用する「間接乾燥方式」や、水素を熱源にした新たな乾燥技術の研究を進めています。さらに福島大学と共同で、下水汚泥から高純度水素を生成する研究にも着手。汚泥の炭化過程で発生する炭素の再利用まで視野に入れ、脱炭素社会の実現を見据えています。

CO₂を出す産業だからこそ、社内から変える

営業部 橋本 建一 氏

株式会社大和三光製作所 福島工場 営業部 部長 橋本 建一 氏

「私たちの機械は化石燃料を使います。CO₂を出す企業だからこそ、まずは自分たちの意識を変えなければいけないと思ったんです」と大和会長は語ります。この思いから、同社は数年前にSDGs経営へと舵を切り、17の目標に取り組み始めました。

しかし当初、社員の反応は鈍く、「会社として何を目指すのか」が見えづらい状況が続いていたと言います。転機をもたらしたのが、営業部長・橋本建一さんの入社です。広告業界で30年にわたり企業ブランディングに携わってきた橋本さんは、会長と専務の誠実な人柄に惹かれ、2年前に入社。若手社員を中心に「SDGs推進室」を立ち上げ、全員参加で議論を重ねました。そこで誕生したのが、110周年を機に策定した新たなパーパスです。

世界中にキレイな価値をつくり出す
クリーンな熱源と高度な乾燥技術で、地球の未来と人々の暮らしを幸せにする

「この言葉が、社員の心を一つにしました」と橋本さん。

それまでは"環境のために何かをする"という受け身だった意識が、"自分たちの事業が環境に貢献している"という誇りへと変わっていきました。

社員の心を動かした"声"と"見える化"

工場の屋上に取り付けた太陽光パネル

工場の屋上に取り付けた太陽光パネル

最新の裁断機を購入し、省電力化

最新の裁断機を購入し、省電力化

電動化したフォークリフト

電動化したフォークリフト

フォークリフトの充電池

フォークリフトの充電池

理念を浸透させるには、言葉だけでは足りません。橋本さんは、行動と仕掛けでさらなる意識改革を図ります。

まず着目したのが、福島ならではの「車通勤文化」。社員が通勤中に聞けるよう、会長や社員が出演するラジオ番組を企画しました。「朝の運転時間に会長の声が流れたら、自然と耳に届く。直接"サステナブルとは何か"を語ることで、会社の想いが肌で伝わると思ったんです」と橋本さんはその意図を語ります。

この"社内ラジオ"は温かな変化をもたらしました。会長の言葉を耳で聞くことで、経営方針が自分ごととして感じられるようになり、社員同士の会話にも"環境"というキーワードが自然に登場するようになったのです。

もう一つの仕掛けが、"見える化"です。照明のLED化や太陽光発電の導入、フォークリフトの電動化などを進めるなかで、電力使用量やCO₂削減量を数値で共有。

「"環境のために"と言うより、"自分たちの努力がこれだけ成果を出した"と実感できることが大事なんです」と橋本さんが言うように、見える化を行ったことで、社員の間から「余った電力でフォークリフトを充電しよう」といった前向きな提案も自然に生まれるようになりました。

こうした取り組みを後押ししたのが、きらぼし銀行のサステナビリティ・リンク・ローン(SLL)です。「中小企業が自己資金だけで設備投資をするのは難しいのが現実です。SLLのように環境配慮と経営の安定を両立できる仕組みは本当にありがたいですね」と大和会長。SLL導入を機に他行からの支援も広がり、環境への挑戦が一層加速していると言います。

「人こそ資産」の想いでつくる、地域の未来

地元企業が手を取り合ったプロジェクト推進組織

地元企業が手を取り合ったプロジェクト推進組織

そんな同社の取り組みは、今や大きなうねりとなり、地域をも巻き込む壮大なプロジェクトへと発展しています。

今から4年前、福島工場のある矢吹町では、地元企業8社が集まり「チームやぶき」を結成。制御盤や加工、設計などそれぞれの得意分野を持つ企業が協力し、脱炭素・水素関連の共同研究を進めています。「福島は再エネ関連の補助制度が整っており、大手企業や海外企業も注目しています。そうした企業が新しいプロジェクトを立ち上げるとき、まず声がかかるのが"チームやぶき"なんです」と橋本さんは説明します。

今でこそ、プロジェクトの中核企業として名を連ねる同社ですが、地域での信頼を築くまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。転機となったのは、2011年の東日本大震災。被災した下水処理場の修理を申し出たものの、話がなかなか行政に届かず、もどかしい思いをしたといいます。「地元にいなければ信用されない」と痛感した大和会長は、「それならいっそ現地で直接動こう」と70歳で福島に移住。「福島のために何かしたい」という真摯な想いが地域へと伝わり、今では"町に必要とされる企業"として認められる存在になりました。

会長の思い切った行動に象徴されるように、同社には「失敗を恐れず果敢に挑戦する姿勢」が根づいています。「うちは受注生産の会社なので、"できない"とは言いません。お客さまの要望をどう実現するかを考え抜く文化があるんです」と大和会長。この挑戦の精神こそが、創業から110年にわたり同社を支えつづける原動力なのでしょう。

現在、独立行政法人中小企業基盤整備機構から委嘱され、地域と企業をつなぐ活動を広げている大和会長。環境に取り組む上で大事なことは何かと尋ねると、こんな答えが返ってきました。「一番大事なのは人です。どんな取り組みも、最後に動かすのは"人"ですから」

技術を継ぐのも、人を育てるのも人。若い世代に"環境を支える仕事がある"と知ってもらいたい。そんな想いから、近年では地元の学生たちを工場へ招き、技術や環境への取り組みを伝える活動も行っています。

「環境への取り組みは、設備よりも人づくりが先です。どんなに立派な技術があっても、それを使いこなせる人がいなければ始まりません。社員が誇りを持てる会社であれば、そこに自然と人が集まり、その結果、環境にも良い循環が生まれるのではないでしょうか」

110年の歴史の中で、技術も価値観も進化してきました。しかし、創業当時から今も変わらないのは、「人の力で未来をつくる」という信念です。大和三光製作所の挑戦は、"世界中にキレイな価値をつくり出す"ために、これからもつづいていきます。

HTTとは

HTTとは、電力を「H(減らす)T(創る)T(蓄める)」をキーワードに、都民や事業者の皆さまと共に、気候危機への対応だけでなくエネルギーの安定確保に向けたアクションを推進する取組です。今年度はHTTの取組に積極的にご協力いただける様々な企業等との連携を推進し、より多くの都民・事業者に向けて、HTTに関する理解促進等を進めていきます。

【HTTに関する最新情報は以下をご確認ください】

公式サイト:
https://htt-tokyo.jp

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HTT推進に向けた普及啓発・機運醸成実行委員会

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