企業インタビュー

2025.12/15

きらぼし銀行と共創するサステナブル先進企業

「金融にも強い総合サービス業」を将来像に掲げるきらぼしグループは、エネルギー使用量の削減や脱炭素経営支援など、持続可能な社会の実現に向けたさまざまな取組みを行われています。今回きらぼし銀行様が脱炭素経営支援をされている中小企業様に対して、環境問題に取り組む意気込みや、今後の展望などをお伺いしました。

文唱堂印刷株式会社
Vol.2

地域とともに歩んできた文唱堂印刷の経営方針

2016年に第13回日本印刷産業連合会環境優良工場表彰で経済産業大臣賞を受賞するなど、世間に先駆け環境経営に力を入れてきた文唱堂印刷株式会社。同社は、きらぼし銀行のサステナビリティ・リンク・ローン(SLL)を活用し、電力やCO₂削減などを積極的に行っています。その取り組みの背景を代表取締役社長の橋本唱市氏に伺いました。

橋本唱市氏

PROFILE 橋本唱市氏
文唱堂印刷株式会社 代表取締役社長

神田の地域のお客様とともに98年

文唱堂印刷の歴史

昭和2年 現在の場所、東京都千代田区神田佐久間町にて文唱堂印刷所創業

昭和2年に神田佐久間町で創業した文唱堂印刷。東京大空襲で創業者や社屋を失ったものの、戦地から戻った2代目の先代が一から復興。問屋街や官公庁・出版社など地域の企業とともに、再び歩みを進めてきました。現在本社は千代田区佐久間町、荒川区町屋に工場を構え、デザインから印刷、製本、物流までのワンストップサービスを確立しています。

「印刷は紙やインクなど有資源のものを扱う商売ですから、無駄をなくすことは利益にもつながります。」と橋本社長は語ります。同社では、社員全員で仕事として毎朝30分間、整理整頓清潔清掃を行う「環境整備活動」をつづけています。

「ただの掃除ではなく、働く環境を整えて備えるという考え方です。時間の無駄、材料の無駄を工夫で減らす。その積み重ねが、環境を守ることにもつながっていくのです。」

そんな同社が環境への取り組みを本格化するきっかけとなったのが、今からおよそ20年前。橋本社長が東京都印刷工業組合の環境委員長に就任したことでした。

「環境委員長という立場から学ぶことが必要になりました。社内でも環境に取り組むことが必須になりました。当時はISO9001が主流でしたが、ISO14001から取得。そこから持続可能な経営への歩みが始まりました。」

社会にも自社にも役立つ"仕組み"をつくる

環境配慮設備

スマートクロック、スマートメーター、営業で使用するEV車、本社屋上に配置されている太陽光発電パネル

文唱堂印刷が環境経営に取り組む上で、何より大切にしているのは"社会にも自社にも役立つことをつづけること"。

「工場は電力のピーク時間を避けて昼休みを取ったり、印刷機やコンプレッサーを時間差で稼働させたり。日常の中で地域・環境によい"仕組み"を取り入れています。」

スマートクロックやスマートエリアメーターによる電力の"見える化"もそのひとつ。勉強会やベンチマーク会などを通じて社員の取り組みが浸透していきました。今では「サスティナビリティ・環境に力を入れている企業」という印象が学生からの応募が増える要因になり、採用面にも良い影響をもたらしています。

東京都の補助金を活用し、キュービクルの入れ替えや空調、LED照明への切り替えなど、省エネ設備の導入も進めました。その結果、電力使用量は以前の約3分の2に。CO₂ゼロ電源も導入し、EV車の充電には太陽光パネルの電力を利用するなど、着実に取り組みを拡大しています。

可視化の取り組み

自分たちがどんな社会貢献しているのか各工程で可視化し、誇りと責任を認識する。

印刷工程でも、環境負荷を抑える技術を積極的に採用。湿し水を使わない「水なし印刷」や、「プラチナナノバブル」装置で水をナノバブル化し機械内清掃を減らし水の使用量も減らす。再生可能エネルギーの利用によるカーボンオフセット名刺は1箱(100枚)あたり80グラムの削減を実現しています。2024年にはSBT認証も取得。橋本社長は「SBT認証を取ったことで、目標が明確になり、この社会での社の立ち位置がわかるようになった。」と語ります。

こうした取り組みを後押ししているのが、きらぼし銀行との連携です。同社は、きらぼし銀行が提供するサステナビリティ・リンク・ローン(SLL)を活用し、環境負荷の低減に向けた設備の導入や省エネ対策を推進しています。

「環境への取り組みは、つづけることが重要です。SLLを利用することで継続的に取り組める仕組みを整えることができたのは非常に大きいですね」

地域とともに生きる企業として

地域との共生

地域の役に立つことと、企業の持続可能性はつながる

文唱堂印刷が環境への取り組みに力を入れる背景には、印刷業ならではの課題意識があります。印刷ではインクや溶剤など化学物質を扱うため、地域との信頼関係が欠かせません。

「環境への取り組みは経営のためだけでなく、地域の理解を得るためでもあります。周囲の方々に納得してもらえなければ、都心で操業を続けることはできません」

同社が目指してきたのは、地域とともに歩む経営。工場では、法的な基準はクリアしていても、地域の方からの声を1つ1つ改善してきました。

「地域の方々に不快な思いをさせてしまうこともあります。だからこそ地域の役に立つ会社でありたいと思っています」

その姿勢は創業当時からつづくものです。先代社長は佐久間町3丁目町会長を35年にわたり務め、地域行事や防災活動にも積極的に参加していました。その精神は今も受け継がれ、地域との絆を大切にする企業文化として息づいています。現在も、町屋工場の地元の小学校の社会科見学を受け入れたり、地域の主婦層を積極的に採用したりと、地域に開かれた会社づくりを進めています。本社では千代田区商工業連合会を通じて、千代田区の中小企業を応援し千代田区のまちづくりの一端を担っています。

「当社の経営は、戦略的CSR経営 CSV(Creating Shared Value※1)経営です。社会利益と弊社の利益を両立させ、千代田区や荒川区など、拠点を置く地域に貢献していくことをビジョンにしています」

※1 企業が社会課題の解決と経済的利益の創出を両立させる経営手法

"四方よし"で、みんなが幸せになれる未来を

CO2ダッシュボード CO2ダッシュボード詳細

CO2ダッシュボードの提供画面の一部

そんな同社が環境経営を進める中で新たに手がけたのが「CO₂ダッシュボード」です。企業のCO₂排出量を簡単に可視化できる独自ツールで、もともとは自社の排出量を管理するために開発されました。現在はコンサルティング事業として、他社への提供も進めています。

このツールの特長は、SCOPE1・2に加え、SCOPE3※2にも対応している点です。AIを活用し、入力データから自動的に排出量を算定できるよう設計。複雑になりがちな環境データをシンプルに可視化し、改善の方向性を見つけやすくしています。

日本ではSSBJ(サステナビリティ基準委員会)が策定した開示基準により、2027年度から上場企業に対しSCOPE3を含む排出量の開示が段階的に義務化されることから、こうした仕組みは今後ますます重要になります。

「自社の排出量を把握しておかないと取引そのものが難しくなる時代です。とはいえ、何から手をつけたらいいのかわからないという企業が多いのも事実。まずは数字を"見える化"することが、その一歩になるはずです」

環境への取り組みは利益にならないというイメージがあります。しかし、橋本社長は「きちんと仕組みをつくれば、さまざまな利益として必ず自社に還ってくる」と言います。

「環境配慮とは単にエネルギーを減らすことではなく、人や地域との関係を豊かにすること。地域が良くなれば企業も良くなる。地域とともに成長していくことが一番の経営です。"三方よし"という言葉がありますが、お客様、社員、地域、そして社会。"四方よし"で、みんなが幸せになれる、そんな未来を目指していきたいですね」

98年の歴史を重ねる文唱堂印刷は、地域とともに新しいページをめくろうとしています。

※2 SCOPE1:自社の直接排出/SCOPE2:電力や熱などエネルギー利用による間接排出/SCOPE3:仕入れや物流、通勤などサプライチェーン全体で発生するその他の間接排出

HTTとは

HTTとは、電力を「H(減らす)T(創る)T(蓄める)」をキーワードに、都民や事業者の皆さまと共に、気候危機への対応だけでなくエネルギーの安定確保に向けたアクションを推進する取組です。今年度はHTTの取組に積極的にご協力いただける様々な企業等との連携を推進し、より多くの都民・事業者に向けて、HTTに関する理解促進等を進めていきます。

【HTTに関する最新情報は以下をご確認ください】

公式サイト:
https://htt-tokyo.jp

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HTT推進に向けた普及啓発・機運醸成実行委員会

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